2017年5月に国会で民法改正が成立しました。
民法が改正されるみたいだけど、ウチラ大家にも何か影響はあるの?
はい、民法の改正によって、アパート・マンションを貸したり、借りる際などの賃貸借契約にも影響が出てきますので、改正点についてはしっかり理解するようにしてください。
今回は、民法改正による賃貸市場の影響について解説していきます。
そもそも民法とは?そして、民法改正の概要は?
そもそも民法とは、私たち市民の生活における私人間の基本的なルールを規定した法律です。
1896年に制定された民法は、1世紀以上を経過して現状に合わない部分も多くなっていました。
今回改正されるのは債権に関わる部分で、国民への周知やガイドラインの策定、準備などに時間を要することから、2020年頃をめどに施行されるものと考えられています。
今回の民法改正で、飲み屋のツケの時効が1年から5年になったり、企業への融資に個人保証人が無効になるなどの変更が加えられました。
【追記】
民法改正は、2020年4月1日から施行されることが決定しました。
民法改正による賃貸の影響
- 敷金に関するルールの明文化
- 連帯保証人の規定
- 修繕権
- 一部減失による当然減額
それでは、一つずつ見ていきます。
☆敷金に関するルールの明文化
これまで敷金については扱いに地域差があり、慣例で実施されてきました。
しかし今回敷金を「家賃の担保としての目的を持つ金銭」であると定義し、原則的に退去時に返還されるものであることを規定したのです。
通常の使用や経年劣化による消耗は、借り手に修繕する義務はないものとし、故意や過失による損傷がなければ敷金を返還することが明文化されます。
ただ、敷金の概念・定義は現行法の裁判例の解釈を明文化したものなので、実務上、大きな影響があるわけではありません。
☆連帯保証人の規定
入居時の連帯保証人については、連帯保証人が保証する限度額を予め定めておく必要が出てきました。
入居後賃料が上がっても、他に特約が無ければ連帯保証人は増加分について保証する責任を負わなくて済むことになります。
ただし、金額が明示されることで連帯保証人になる人が躊躇してしまうことや、家主側が個人の連帯保証人を嫌い、家賃保証会社の利用を必須とする可能性もあります。
☆借主の修繕権
明確になった権利として「修繕権」もあります。
これは緊急時や修繕の必要に気づいたにもかかわらず相当期間修繕がなされない場合に、借り手が自ら修繕を行うことを認めたものです。
☆部屋の一部が使えないと当然減額
部屋の一部などが減失したり使えなくなった場合に、相当の賃料を減額する「当然減額」も定められました。
まとめ
民法改正で、大家にも影響があるんだな。
ちゃんと理解して、正しい運用を心掛けよう。
今回の民法改正によって、賃貸借契約にも様々な変更が発生します。
家主を事業者、借り手を個人として、個人保護の色彩が強めの改正になっています。
現在賃貸物件は供給が過剰気味で、全国的に借り手市場となっております。
この改正により、日々の賃貸借契約にも影響がありますので、大家さんにはより緻密な運営が求められることになります。
しっかりと理解を深めるようにしましょう。
より詳しい内容を知りたい方は、下記の法務省HPよりご参考にしてください。
リンク:【民法の一部を改正する法律(債権法改正)について】
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